✅️はじめに
「なんだか気分が沈む」「急に涙が止まらない」「赤ちゃんや夫にイライラする」…。
それは、もしかするとマタニティブルーかもしれません。
私は助産師として、これまでたくさんのマタニティブルーのママたちに出会ってきました。
そして感じるのは、「ちょっとしたことで、マタニティブルーが軽減することもある」ということです。
今回は、助産師の視点と経験を交えながら、「心がラクになる方法」をお伝えします☺️
✅ マタニティブルーとは?いつ、なぜ起きる?

マタニティブルーとは?
マタニティブルーは正式には「マタニティブルーズ」と言います。一般的にはマタニティブルーと言われることが多いので、ここではマタニティブルーと記載していきます。
マタニティブルーは出産後の女性の3~5割(文献によっては7割)が経験するとされる、ごく一般的な一過性の情緒不安定状態です。主な症状は、涙もろさ、不安、イライラ、軽い抑うつ気分などで、通常は数日~2週間以内に自然と改善します。原因は、出産によるホルモンバランスの急激な変化や、育児への不安、疲労などが挙げられます。基本的には治療の必要はなく、休息や周囲のサポートで回復します。
マタニティブルーと産後うつの違い
マタニティブルーと産後うつは、どちらも出産後の女性に見られる精神的な変化ですが、発症時期・症状の重さ・持続期間・治療の必要性などに明確な違いがあります。
以下に違いについてまとめています。
今回はマタニティブルーについて記載していきます。
✅ ママの心に起きていること
「自分がまさかマタニティブルーになるなんて思わなかった」「かわいいはずなのに…」などの声をよく聞きます。
妊娠・出産は人生最大レベルのホルモン変化+環境変化です。「今までの人生で、落ち込んだり、イライラすることはあっても、こんなにひどく落ち込んだことは初めての経験」と言われるママも多いです。
初めての育児、パパとの温度感、夫婦関係、家族の期待、仕事のこと…すべて怒涛に変化しているのですから、受け止めきれなくて当然です。
「幸せな時期なのに…」という知らず知らずのプレッシャーが、かえって辛さを助長していることもあります。
✅ 助産師として、たくさんのママたちと接して感じたこと
私自身は、実はマタニティブルーを経験することがなく育児をしてきました。もちろん育児をしていて、「しんどい」「寝不足…」「疲れる」と感じることは、何度もありました。マタニティブルーにならなかったのは、助産師としてマタニティブルーの予防について知っていたので、自然に予防行動ができていたのだと思います。
しかし、赤ちゃん訪問や育児相談をする機会を通して、マタニティブルーで悩む多くのママたちに出会ってきました。「涙が止まらない」「毎晩泣いてしまう」「夫に申し訳ない」「子どもがかわいく思えないときがある」…。そんな言葉を口にしながらも、 たった1回の相談で、短い時間の会話で、笑顔になってくれるママもたくさんいました。
そこから、私がいつも感じるのは、「マタニティブルーについて知識が必要」と「本音を話せる場所があるだけで、人は安心できる」ということです。
マタニティブルーの知識があると、自分でも早めに休息したり、他の人に相談したりなどの予防行動が取れます。また、話せる人がいるだけで、「わかってくれる人がいる」「寄り添ってもらえる」と思え、気持ちは少しラクになるのです☺️
マタニティブルーの時期を過ぎても、定期的に連絡をくださるママも居られます。回数を重ねると「ちょっと聞いて下さい〜!!」とたっくさん話して、スッキリして、「今日からしばらく頑張れます!」と言ってくださるママさんも多いです。
✅ マタニティブルーかもしれない…と思ったときの対処法
① 自分を責めない
「自分は精神的に不安定になる人間じゃない」「甘えてるんじゃないか」と感じてしまったら、それは心のSOSです。今は“気持ちが揺れていて当たり前の時期”です。だって、妊娠・出産・育児という大仕事をしているのですからね!
「涙が出るほど、自分は頑張っているんだね」「落ち込むぐらい、赤ちゃんに真剣に向き合っているんだね」と自分を労ってあげましょう。
② 周囲に相談する。
夫、友人、家族、助産師など「安心できる人」に話してみてください。分かってもらえたり、話すことで思考が整理されていきます。私も何度か、他の助産師さんに話をして救われたことがあります。言葉にできないときは、紙に書くだけでも効果的です。
③十分に休息する
育児や家事の合間にしっかりと休養し、赤ちゃんが寝ている間は自分も休むことを心がけましょう。ママ自身の休息よりも、家事や家族への配慮をしているママが多いこと!!と感じています。自覚がないママが多いのですが、産後は、出産による体のダメージがかなり大きいです。休むことを優先しましょう。
家族や気を許せる人に手伝ってもらったり、今は産後ケアも浸透してきています。遠慮なく、周りに頼ったり、制度を利用しましょう。
④気分転換をする。
毎日家で、赤ちゃんのお世話と家事をしていて、外の空気を吸えていますか? 好きな食べ物や飲み物を控えすぎてはいませんか?
窓を開ける、玄関から一歩出る。そんなことでも構いません。自分の心がほっとすることを出来ていますか?
私のおすすめは、体調がよければ、赤ちゃんをパパに託して、おうちから近いコンビニに「ママの大好きなスイーツを買いに行くこと」です♡ 環境的に無理な環境のママもおられるかもしれませんが、その場合は自分の気分転換法をしてみてください☺️
⑤ママ友や同じ立場の人と交流する。
特に1人目のママは、産まれるまでなんとなく赤ちゃんとの生活を想像はしていても、赤ちゃんについて学んできた経験は少なく、実際に育児をしながら試行錯誤をされている方が多いです。そして、調べるのは、基本携帯ですよね☺️ もちろん、正しい情報もたくさん載っていますが、我が子には合わないものもたくさんあります。育児は学校のテストみたいに「これが正解!」というものがないことが多いんです😅 ママ自身や我が子に合えばそれが正解になります。
もちろん、ママ友や同じ立場の人とも同じことが言えますが、より今の状況を見ながらアドバイスをくれたり、共感してもらえるところもあるので、交流をおすすめします。
⑥専門の支援を知っておく
ハードルは高いかもしれませんが、住んでいる自治体の保健センターや近くの助産院、出産病院などに相談することも1つです。やはり、専門家のサポートは強いと思います。私はよく、赤ちゃんの訪問に行くことが多いのですが、訪問の最初と最後では、ママの表情や言葉が違います。助産師として「大丈夫」「これは受診したほうが良い」「こんなサポートが他にあるよ」など、のアドバイスがママの心に響いているのかなと思います。ほっとしてもらえると、私自身も嬉しくなります。
私自身、オンライン相談も受けています。ご利用したい方はお気軽にお問い合わせください。
必要なら心療内科やメンタル専門の産婦人科連携機関へ行くことも1つです。
✅ ママの心が少し軽くなる考え方
「今まで、勉強や仕事など頑張ればなんとかなってきた!」「精神的に不安定が続いたのは初めてでこんな自分は嫌!」などと思うママもおられると思います。
でも、これは、妊娠・出産・育児など体も環境も大変化が起きている中で、マタニティブルーになってもおかしいことではありません。
一時的なものなので、ぜひ「私がんばっている証拠なんだ」と自分の気持ちに寄り添ってください。
✅ まとめ

マタニティブルーは誰にでも起きうる、一時的な心の揺れです。それは「適応できていない」や「弱さ」ではなく、「心がちゃんと働いている証拠」です。
ひとりで抱え込まず、声に出して、心に風を通してあげてくださいね。自分自身の心にやさしくしてあげてくださいね。
そして、必要な時は気軽にいつでも相談してください☺️